2023年3月8日
3月に入り、お空は晴れ晴れと青くなり、気温もゆるやかに上昇しています。お着物日和の春でございます。
のんびりとお店番をしておりましたところ、いつも親しくお出かけ下さるお客様が訪ねてくださいました。この日は全て、当店でおあつらえ下さいましたものでコーディネート下さいました。そして、昨年末に新調して下さった道行コートを羽織って、春の穏やかな午後のお出かけスタイルです❣
江戸小紋「氷割」×織楽浅野「クリムトの箱」
こちらの江戸小紋は「氷割」という文様です。水面に張った氷が春の日差しを浴びて割れてくる、というようなイメージをデザインしたもので、古くから日本の文様として親しまれています。
お客様のM様が、初めて当店を訪ねて下さるキッカケとなった江戸小紋。12-3年ほど前に雑誌『七緒』さんに掲載頂いた記事をご覧になってご来店下さったのです。初来店から2年の時を経て、お誂え染めをさせて頂いた思い出の江戸小紋。その当時のおあつらえ顛末や、氷割文様のご説明はこちらの記事に掲載させて頂いております(^^;)➨「粋で素敵な氷割文様」(こちらクリック)
これまで、お客様がお誂え下さいました江戸小紋はこの「氷割」の他、「ぼかし立涌(➨こちらクリック)」「よろけ木賊(➨こちらクリック)」でございますが、中でも、この「氷割」が一番のお気に入りのお着物になったとおっしゃってくださいました。およそ10年前のあの頃、満を持しておあつらえ下さいました着物が、時を経てもずっと愛され続けていることに、心が温かくなりました。
この日合わせてくださいました帯は、織楽浅野名古屋帯「クリムトの箱」です。
M様のお好みはとても明確で、粋でシックな感じ、地味にはならずにモダンなカッコよさを感じるコーデ、織楽浅野さんのミニマルな美学はM様にぴったりの感性でもあります。
墨色グレー・茶やベージュなどを基調とした、色数を使い過ぎない同系色トーンの着物や帯のコーディネートが大変にお上手で、いつお会いしても、気負わない心地よさと素敵でさりげないお着物通の装いがとても素敵なのです。そして、差し色にはグレー味のある草色濃淡、また水色や藍色などの寒色系もとてもお気に入りです。
そしてこの日は、長襦袢も当店でお誂え下さいました京都あさみ「雪花七宝」です。シャリシャリ触感の素材感と、染めの色合いもM様好みです(*^^*)
それから(*^^*)、この度ご新調下さいましたのがこちらの道行コートです。「網代」柄の小紋でお仕立ていたしました。
M様が当店にご来店下さるようになってから、かれこれ13年目となりました。長い長い年月に、折に触れてお会いできましたことを心から深く感謝申し上げておりますのですが、思えば!M様は羽織派!!この13年の間に、道行コートをお作りしたのは、これが初めてのことでした。
しかし、なんと、大変に良くお似合いなのです。ブログで画像をご覧になり、気になるなとお出かけ下さり、あふれるお品の中から、ピタリとお似合いになられるものをチョイスされる審美眼はもうサスガ!!なのです。
それに、この反物がこれほど素敵なコートになるとは、やはり、机上の撮影よりも、お仕立てしてお召し下さって初めてその良さが引き立つのだとシミジミ思います。
それにしても、長いお付き合いをさせて頂きましたことを思い返すと、胸が熱くなり、思わず目頭がうるうるしてしまいます。過去の「おあつらえ写真」を拝見すると、M様は髪を長くされてアップヘアだったのだな、とか、あの頃はお仕事もお忙しく頑張っていらしたな、とか、色んなお話をお聞きしたり、聞いて頂いたりした全ての日々に、本当に厚く厚く御礼を申し上げる次第です。
働く女性の先輩としても少し前を行かれるその小さなお背中に、粋でかっこいい生き様を垣間見たり、繊細なやさしさに触れたり。お店で私がお客様にふれあい、お着物ライフを通じて知りうることなどは、皆さまの人生のほんのわずかな一コマに過ぎないわけですが、それでも、年月を重ねることで、たくさんのお心を頂戴してまいりましたことに、あふれるほどの感謝の気持ちでいっぱいでございます。
「もうあと何度ここに来られるのかしら?」なんて、つぶやかれるお声に、思わず目を伏せてしまうことを、どうかお許し下さいませ。まだ、もう少しの間のれんを上げておりますので、どうぞ、うつりゆく季節の中で、またぜひ、お目にかかれますのを楽しみにお待ち申し上げております。
*お知らせ*
お店では、お客様おあつらえ写真集にご登場頂けますお客様をお待ちしております。どうぞぜひ、おあつらえ下さいましたお着物で、遊びにいらして下さいませ!!または、ご着用のお写真をお送り下さいましても嬉しいです。(お顔NGの場合はそのようにさせて頂きますのでご安心を)楽しみにお待ち申し上げております。
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