2022年4月6日
都内の桜は花びらを散らして、そろそろ若葉が芽を出してくる時期となりました。週末からは気温が上がり、新緑香る季節がはじまります。皆さまのお住まいのところではいかがでしょうか。
もう少しして、初夏の陽気ともなりますと、暮春を飾る「藤の花」が満開を迎えます。
本日は、艶やかな藤の花を見事に描いた友禅の帯をご紹介いたします。
4/12(火)~23(土)「春うららな友禅展」にてご案内予定の作品です。
友禅染め名古屋帯「群藤」
藤は紫式部がこよなく愛した花でもあります。思えば、源氏物語では、光源氏の義母であり初恋の人の名前は藤壺、最愛の妻の名前は紫の上でありました。
そしてこんな記述もございます。「春の花がいずれも咲き終わってしまって寂しく思う頃に、この花だけひとり立ち遅れて咲き、夏に向かって楽しませてくれる。しかもその色が不思議に奥ゆかしくて心に染み入るのです」紫色の藤の花には感慨深いご縁を感じていたようですね。何しろその名も、紫式部でありますから。
世の常の色とも見えず雲井まで
立ちのぼりける藤波の花(源氏物語)
桜の儚さと違い、たっぷりと咲き誇った藤は、夏へと向かうエネルギーを感じさせてくれます。各地で満開を迎える藤棚が公開されたりいたしますが、その圧巻の美しさは息を飲みますね。
その素晴らしい景色を切り取って、丁寧に見事に描いた作品です。(黒地の塩瀬です。お値段はお気軽にお問合せ下さい)
(お太鼓)
(前帯)
現在では鑑賞用の藤の花は藤棚に仕立てることが一般的ですが、古来は棚ではなくて松の木に絡んで自生していたようです。
藤波は君が千歳の松にこそ
かけて久しく見るべかりけれ(金葉集)
ということで、付下げ「松に笹」にあわせてみました。松をたよりに蔓をはわせて豊かな滝のごとく花を咲かせる藤。潤う季節の鮮やかな景色に心奪われてしまいそうです。(付下げ⇒友禅染め付下げ「松に笹」)
季節が駆け足で進みはじめているようです。
春は気が早くていけませんが、しばらくは何をするにも過ごしやすい気候が続きます。
来週4/12からの「春うららな友禅展」をどうぞお楽しみにお訪ね下さいましたら嬉しいです。
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