2021年6月10日
『自然布織物の会』6/19(土)まで
開催中!
ということで、古来から吹き渡る心地よい風を感じて頂けますように、自然布の作品をご紹介しておりますが、お楽しみ頂けていますでしょうか?
※期間中の対象商品は「お仕立て無料」または、(お仕立て不要の方には)「10%引き」にてお求め頂けます。お値段その他、どうぞお気軽にお問合せください。
本日は、慎ましき自然布「藤布」の帯を、小千谷ちぢみにコーディネートしてみました。
藤布八寸帯
「藤布」は、藤蔓の皮を細くはいで糸をつくり、織り上げたものです。科布やくず布と同じく、日本最古の織物の一つです。
鮮やかな藤の花を支える蔓はとても強靭で、古代より、蔓で魚網や籠を作り、蔓の皮から糸をつくって着るものをこしらえてきました。
過去には日本各地でつくられたものでしたが、現在ではおもに帯として生き残り、京都の丹後地方で制作されています。
丈夫で劣化することのない古代布ならではの強靭さ、どことなく藤の花を思わせるような紫味を帯びた寒色系の色合い、自然の逞しさと優しさが合いまった、自然布ならではの味わい深い作品です。
「大君の潮焼く海人の藤衣」
(万葉集 よみ人しらず)
元弘2年、隠岐の島に流された後醍醐天皇が、藤の苗木を隠岐の島に持参された逸話もあり、藤を愛された天皇が、藤布を身にまとい都に想いを馳せたとも語られているそうです。
本日は、「小千谷ちぢみ」にコーディネートをしてみました。
重要無形文化財「小千谷ちぢみ」
真夏の着物として有名な小千谷ちぢみですが、幾つものクラスがあります。大まかに分けると「重要無形文化財指定技法のもの」「手織り伝統的工芸品」「機械織りの普及品」。
こちらはその中でも最高級の小千谷ちぢみです。国の重要無形文化財であり、ユネスコ無形文化財でもある小千谷ちぢみは、「タテヨコとも手積みの苧麻糸を用い、手くびりによって絣をつくり、いざり機で織り、手もみ足踏みでシボを取り、雪でさらす」という古来の伝統的な工程を忠実に守ってつくられたものに限られて、年に数反しかつくられていません。
触ってみると、なるほど~違うわ!と深く納得する極上の風合いに驚きます。反物からいくらか生地を解いて空中に躍らせてみると、すぐには落ちて来なくて、ふわりと空気に乗っかっているみたいに気持ちよさそうです。そして肌に触れると、その優しいシャリ感に、これ絶対気持ちいいよね!と断言できます(*^^*) それは、手積み細い糸が含む空気感、太さや断面のバラツキによるシャリ感、紡績糸ラミーでは味わうことのできない触感です。
シンプルながら、涼感にあふれ、癒され感・充実感に満たされるコーディネートです。
いやいや、重要無形文化財小千谷ちぢみが素晴らしいものであることはわかりますが、ちょっと手が届かないかな・・・(-_-;)
というわけで、こちらは、伝統的工芸品指定の手織り小千谷ちぢみにあわせてみました。
手積みの苧麻ではなく、ラミー糸(苧麻の紡績糸)を、いざり機ではなく「高機」で手織りをしています。ラミー糸は糸の太さが比較的均一なので、高機で織ることができます。
それでも、機械織りと異なる、人の手の感触が伝わる肌ざわりの心地よさは、伝統的工芸品ならではです。
小千谷ちぢみ「番匠に十字絣」
アイボリーに「番匠」柄「十字絣」を織り込んだ、元気で可愛らしいデザインです。
※「番匠」柄とは、古代日本における建築を担った職人さんのこと。その職人さんが扱う曲尺のデザインを用いた伝統柄です。
重要無形文化財小千谷ちぢみの極上の風合いには及びませんが、手織りであることにより十分心地ちの良い麻の風合いを感じさせてくれます。また機械織りでは果たせない絣織りも、手織りならではです。
ほんのりとした藤布の色あいが、優しく癒してくれる、楽しいコーディネートになりました。
小千谷ちぢみ「縞絣」
ほんのりとしたクリーム色に薄茶色の絣柄が可愛い小千谷ちぢみです。なんだか、ほにょりと癒されそうです。
お色の感じもまとまりがあり、ふわっとした優しいコーディネートになりました。
綿や絹が普通となる以前、古代布や麻が日本の人々の体を包んでまいりました。とかく湿気の多い島国には、古代人からの知恵が今でも生かされていることに、ちょっぴり嬉しくなってまいります。伝統的な技法ができる限り長く続きますように、そして、現代の私たちをも包み込んでくれる、素晴らしい織物に心より感謝しつつ、どうぞ素敵な作品たちに会いにいらして下さいませ。
このところ、良いお天気が続いております。どうぞお会いできますのを楽しみにしております。
もちろん!メールやお電話でのお問合せもご遠慮なくお待ちしております(*^^*)
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