2019年12月5日
江戸小紋の王道「鮫」です。鮫の中でも「極」と呼ばれる緻密な文様は古くから江戸小紋好きの皆さまに愛され続けています。
本日は、先ごろ染め上がったばかり「極鮫」文様の江戸小紋をご紹介しながら、江戸小紋の魅力について書いてみたいと思います。
浅紫色 極鮫文様 江戸小紋
何年も前にこんな記事を書いたことがありました。今更ですが上手く書けているなと思いますので、再掲してみようと思います。
江戸小紋の魅力
それは・・・何はさておき、「着る人が綺麗に見える」ということです。なんて申しましても、そんなの江戸小紋じゃなくても綺麗に見えるお洋服や着物はあるワ♪
もちろんです。でも、江戸小紋の魅力の第一番にどうして「綺麗に見える」と言い切ってしまえるかというと・・・その理由は、
①信じられないほど繊細な文様を追求したからこそ表現できる美しさがあるのだということ
②柄目の一つ一つは微妙な力加減があり、それこそ人の手による温かみ(間)が凝縮されているということ
ゆえに、染め上がったお着物は、
③決して無地のお着物では味わうことのできない、光の陰影による奥深さがあります。でもそれは、人が着て、立ったり座ったり歩いたりご飯食べたり、そんな動作をすることで、はじめて目の当たりにして頂ける美しさであります。
「人が身にまとって始めて完成する美しさ」
これこそが江戸小紋の最大の魅力であり、
だからこそ、江戸小紋は「着る人が綺麗に見える」着物なのだと思います。
柄目を立たせるためにやや渋みのあるお色目であることや、遠目には無地にしか見えないことから、「地味なお着物」と思われがちですが、驚くことに、お召しになって動かれると、まるでスポットライトが当たっているように美しく輝く!それが江戸小紋です。
いかに緻密な文様を彫り、染め上げることができるか、江戸時代の閉ざされた環境の中で無限の差異への要求に応え続けた職人たち、その高度で卓越した技術を育んできた歴史に根差して今なおその究極の手技を引き継いでいる伝統工芸品です。
おそらく江戸小紋は強く印象に残るお着物ではないかもしれません。豪華な絵柄はどこにもありませんが、しかし着る人の内面からの魅力が滲み出るお着物、それが江戸小紋の真情であるのです。
まさか「内面の魅力」だなんて、それこそ自信ないわ!皆さまは謙虚にそうおっしゃるかもしれません。でもそれは大間違い!長く生きてこれば尚更、苦しみも哀しみも乗り越えてきた人生に魅力がないハズなどありません。心にできたヒダの数ほどの緻密な文様が、そっと優しく心を撫ぜて、あなただからこその魅力を引き出し、美しく輝かせてくれるのです。
ことに、「極鮫」はその代表選手といって良いでしょう✨
このような細やかな柄の江戸小紋に帯を考える時、それはもう、大方の帯が似合ってしまいます。
お着物通は帯好き!でありますことから、大好きな帯に出会った時も迷わずお召し頂けるのも、江戸小紋だからこそです。
染めの帯、織の帯、名古屋帯でも袋帯でも、カジュアルからフォーマルまで。特に微細な柄の江戸小紋は、ご着用シーンにあわせて帯を着替えることで幅広いシーンに活躍いたします。
極鮫文様江戸小紋×染め帯「嵯峨菊」
季節の染め帯を合わせて頂ければ、お友だちとのお食事や観劇に、はんなり感のあるお洒落なコーディネートが仕上がります。
友禅の染め帯は、江戸小紋のたおやかさをより一層美しく魅せてくれる素敵な相棒です。
お昼間は晴れ晴れとしていましたのに、夕方からは冬の匂いが漂ってまいりました。
心あてに折らばや折らむ初霜の
おきまどはせる白菊の花(凡河内躬恒)
週末は東京でも雪になるかもしれないそうで、お風邪めされませぬように!どうかお気をつけてお過ごし下さい。
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