2019年11月26日
今朝突然に、玄関にも窓辺にも冬がヒュン♪とやってきたようです。もういきなり来るんですものね、皆さま心のご準備はいかがでしたでしょうか?お風邪召されていませんか?
しかし突然!とはいえ、暦は残すところあと一枚、もうそんな時期なのですね。。。
さて本日は、引き続き新作の江戸小紋をご紹介させて頂きたいと思います。前回(角通し)・今回とご紹介する作品2点は、型紙の熟練彫職人さんたちの今年の逸品型紙を染めた作品です。本日の作品は新作!「竹の子づくし」を染めています。
若葉色「竹の子づくし」江戸小紋
彫:宮原敏明
染:石塚幸生
「竹の子」は「筍」のこと。
竹の子(筍)は、春先に土の中からムックリと芽を出します。この世界を初めて見た竹の子は、まずはちょこっと青空を仰ぎプハァ~と深呼吸。それからにっこり笑ってニョキニョキ背を伸ばし、あっという間に若竹となり、夏が来る頃には、天に向かって葉っぱを茂らせる立派な竹に成長するのです。
細かい点々で、未来有望な可愛い筍(竹の子)をびっしりと描いた作品です。筍(竹の子)にふさわしい若竹色で染めました。
遠目には無地に見間違うほどの微細な文様が特徴の「江戸小紋」では、筍ならば春だけ?なんて、季節の縛りがございません。そのためどんな季節にお召し頂いてもよろしいのですが、それでも、何となく縁起を担ぎたいのが人情でございますね。
筍(竹の子)の、その凄まじい成長力と逞しさにあやかると、例えば、お子様の卒入学式などのお召しものにも大変にふさわしいお着物かな、と思います。何しろ、スクスクとまっすぐ育つ竹の子、どんなに厳しい環境でも芽を出す生命力の強さから、「竹の子の力を誰にたとふべき(凡兆)」なんて詠まれたりしています。
2月頃から5月頃まで、次々と芽を出す竹の子ですが、2月ではまだ雪の季節だったりするわけで、少しせっかちな子かな。でも、「雪の筍」なんて故事もあり、雪の中に芽を出す筍は「得難いものを得た」という意味です。せっかちな子は得難いものでございます。それでも一方では、「竹の子や大物はまだ土の中」(杉本艸舟)!って・・・えっどっちが良いのでしょうか(^^;
いえいえ、いつ芽を出してくれたって、いつだって大事な子に変わりはありませんね。
近づいてシゲシゲと眺めないとわからない文様ですが、淡いはんなりとした若竹色のしなやかさ、竹の子たちのささやかな息遣いが感じられる心豊かなお着物です。
彫り師の宮原敏明さんは、細やかな点々で図柄をあらわす「錐彫り」という技術の職人さんです。15歳で型紙の世界に弟子入りをなさってから、もう60年以上も彫り続けている熟練の職人さんです。60年もモクモクと彫る・・・考えただけでも気が遠くなり、宮原さんの60年の営みに頭が深く下がります。
染め師の石塚幸生さんは、当店の創業以来ずっと「おあつらえ江戸小紋」を染めて下さっている、心から信頼を寄せる職人さんです。染工場の4代目であり、江戸小紋を染め続けて50数年。細かい型を染めればもう右に出る人はいないのではないか、実直で繊細な職人さんです。
昨今では、そういう職人さんたちが大変に希少となってきています。熟練の手業ならではの心温まる作品です。
冬が来れば必ず春がやってまいります。新しい春のご準備もどうぞ始めて下さいますように。
【江戸小紋オーダー染めの通常納期について】
染め:1か月半/ 仕立て:1か月半
春の卒入学式をご予定の方は、年内じゅうにご注文下さいますと安心です。また「紋入れ」をご希望なさいます場合はぜひ年内発注をお願いいたします。
それにしても、お外はグレーに染まって寒い寒い。この時期に降り続く冷たい雨を「山茶花(さざんか)梅雨」と呼ぶそうです。この雨が止む頃は冬晴れというのでしょうか?季節がコツコツ移り替わろうとしています。何かと気ぜわしくなってしまう前に、どうぞ気軽に遊びにいらして下さいませ。
お店は今年も床暖房!足元からポカポカ、どうぞご一緒に温まりませんか(*^^)v
<営業時間>
火・水 午前11:00~午後6:00
木・金・土 午前11:00~午後7:00
定休日:日曜日・月曜日
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