2019年2月28日
さて、今週末は東京手描き友禅のコンクール展「染芸展」が浅草にて開催されます(詳細⇒こちら)
ただ今お店では、こちらの作品、東京手描き友禅作家「田邊慶子」先生の作品「龍笛」をお預かりしてご紹介をさせて頂いております。
この作品は「染芸展」には出品されませんが、田邊先生の新作です。
手描き友禅名古屋帯「龍笛」
なんとも鮮やかな色、これ以上濃くはならないだろうと思う杜若の色のようでもあり、青みのある紫色をうんと濃くしてそして紅を少し足したような、田邊先生ならではのお色です。
拝見した時には、ハッとして目が釘付けになってしまいましたが、だんだんと古典の世界に誘われているような錯覚に陥ります。
描かれているモチーフは「龍笛(りゅうてき)」、ご存じでしょうか?
「龍笛」とは、伝統的な雅楽の演奏に用いられる横笛のこと。源氏物語や枕草子などの古典文学にも登場し「横笛」と記されている笛のことです。平安貴族の男性にとっては教養の嗜みともされた楽器で、日ごろから懐に持ち歩き、ふとした時に取り出して吹いていたようです。
光源氏のようなイケメンさんが吹く音色に、多くの女性たちがうっとりと聞き言っていた様子が目に浮かびます(^^;
また、清少納言はこの龍笛をとっても好んだようで・・・
「枕草子」では「笛は横笛、いみじうをかし・・・・」の書きだして、龍笛(横笛)を絶賛しているわけですが、原文を引用するとちょっと長くなりそうなので以下勝手に訳してみますと(^^;
つまり・・・
「笛は横笛が風情があってイイよね♪遠くから聞こえてた音色が段々近づいてくるのもイイし、近かったのが遠くなってかすかに聞こえるのもイイよね!牛車でも歩いてでも馬に乗っても、いつでもどこでも懐に挿してる感じもお洒落!ましてや知ってる曲だったら感激しちゃう。それに・・・、明け方に男の人が枕元に忘れていった笛を見つけたりするとキュンとするし、それを人を遣わして取りに来たら、丁寧に紙に包んでやると、なんだかうやうやしい文みたいになって、ちょっぴりうふふっ(*^^*)」
いつの間にか平安の世にタイムスリップしてしまいそうですが、どことなく粋な感じもするのは、東京友禅!だからでしょうか。
しばらく一緒にお店番をいたしますので、どうぞまたお手に取ってご覧くださいませ。
さて、今日は一日冷たい雨に打たれてしまいました。でも、明日には晴れ間が戻るようです。
そうそう、昇り龍なんて言うように、龍は運気を押し上げる縁起物です。美しい笛の音色にのって、縁起の良い春を迎えに行くといたしましょう。
明日から3月です。新しい春にどうぞまた、元気にお会いできますのを楽しみにしております。
<営業時間>
火・水・木 午前11:00~午後6:00
金・土 午前11:00~午後7:00
(定休日:日曜日・月曜日)
営業時間内のご来店が難しい場合、時間外のご予約が可能な場合もございます。あらかじめ、どうぞご相談下さいませ。
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