2019年8月28日
表参道では朝からシトシト雨に濡れる一日です。おかげでムシムシ蒸し暑い。夏の終わりはお天気が荒々しくなりがちで、どうかお気をつけ下さいますように。
さて、お店では秋の準備が始まっております。本日は、今年の秋に先駆けて到着しました素敵なお品をご紹介させて頂きます。
何しろこちらは単衣におススメのお着物です。今年も残暑が続き10月でも半袖の気温が続くそうです。この数年は長いこと単衣のお洒落を楽しめるようになりました。
白鷹(しらたか)お召「百亀甲絣」
「お召」の名は、昨日の記事でご紹介した「お召十」文様の名前の由来と同じように、徳川将軍が好んでお召になったことから名づけられました。
先練り先染めした撚りの強い糸を織り上げたシャリシャリとした風合い、紬よりは柔らかい肌馴染みの良さが好まれるお着物です。
本日ご紹介する「白鷹お召」は、西陣や塩沢の本塩沢などと並び伝統的な産地の一つである、山形県置賜地方の白鷹町で(現在ではたった2軒となった)工房で制作されています。
白鷹お召の特徴的なことの一つは、「板締め絣」という技法を用いた細かい絣模様です。白鷹お召だけの絣技法で、絣模様にあわせて溝が彫ってある板に糸を巻き付けそれを3-50枚重ねて縛り、染料を流し込んで絣糸を染めるという技法です。そのため緻密な絣糸を作ることができますが、それゆえに織る際にも細かい絣合わせが必要になるという、熟練の手仕事による気の遠くなる作業を経て制作されたお品です。
ご紹介のお品は、反物の端から端まで百個の亀甲柄が織り込まれています。細やかなその風合いにはちょっと息を飲み、心地よさがジンワリと体じゅうに伝わってきそうです。
織り上がった後にお湯に浸すことで、シャリ感のあるシボが立つことも白鷹お召の特徴で、そのため体にピタリと張り付くことなく、ふわりと気持ちよく風を通しくれます。そのため(袷仕立てでも良いのですが)単衣には根強い人気があります。
グレージュ系の配色もとても気に入っております。寒色系、暖色系、どちらが似合う方にも美しく着こなして頂ける、まさにエイジレスで出番の多い、お着物通にはたまらない素敵なお着物です。
辻が花染めの軽い染め帯をあわせて、9月の中旬から10月にもお楽しみ頂けます。
実はこちらのお品は、先日の秋一番の仕入れにお出かけした際に、予定外に出会ってしまった逸品お着物です。ご承知のとおり当店では江戸小紋をはじめとして友禅染めなどの「染め」の着物を中心にコーディネートをご紹介しております。
しかし・・・たまに、出会ってしまうのです。こんな素晴らしい作品。するとどうしてもお店にお招きしたくてたまらなくなり、ついには一緒にお店に帰ることになり、そしてシゲシゲ眺めて悦に入っておりますところです(*^^*)
しっかりとしたお値段ではありますが、ごわっとした紬が苦手で柔らかいお着物がお好みの方にも長く楽しんで頂ける、風合い豊かな織りの着物「白鷹お召」です。
昨今では伝統的な本物の作品がとても希少になっております。お召のお着物も生産量は大変少なくなっております中でございます。どうぞぜひこの何とも言えぬ気持ちの良い色合いと精緻な絣柄、程よいシャリシャリ感をお試しになってみませんか?早速お店でご案内を始めます。素敵な出会いが結ばれますように、またのんびりお待ちいたします(#^.^#)
さて、明日から暑さがぶり返してきそうです。季節の変わり目でございます。どちら様もどうかご体調管理にお気をつけてお過ごし下さいませ。
<営業時間>
9/3(火)仕入出張のため臨時休業
火・水 午前11:00~午後6:00
木・金・土 午前11:00~午後7:00
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