2022年2月2日
本日は、江戸小紋の数多ある文様の中から、ネバーエンディングな、どこまでも永遠につながるという縁起の良い文様をピックアップしてみました。
古くは、子孫繁栄やお家の継承など「代をつなぐ」ことがとても重要で幸せなこととされておりました。そのため、祖先を敬う家紋や、末永い継承をあらわす文様、様々なものにそうした願いが込められており、それらは現在でも伝統的な文様として愛されています。
しかし現代では、私たちが追い求める幸せの形は様々に多様化し、誰もが同じ形を良しとする時代は大昔のこととなりました。
それでも、すべての命に期限あるかぎり「永遠」は変わらずユートピアであり続け、それぞれの生き方の中で、この先も続く明日を想う気持ちは不変なように思います。
ご紹介する江戸小紋の文様たちは、ひとつの基本形が四方八方につながり、そしてどこまでも続くエンドレスな文様たちです。
皆さまの願う永遠の物語は、どんな物語でしょうか?ご自分らしい幸せの形や穏やかな想いが、これからもずっと続きますように、願いをこめて。。。
《亀甲文様》
正六角形がつながる文様を亀の甲羅に見立てて「亀甲」と呼ばれています。亀の甲羅だけに固い。固く身を守ってくれるなんて云われもあるようです。何しろ亀は万年。この先の未来に想いをはせてみませんか。
-亀甲文様①-
六角形を三重の点々であらわして、中に小さなお花の形を彫りこんだ文様です。永遠につづく長い道のり、そのワンシーンごとに、可憐なお花を咲かせてゆくのです。
-亀甲文様②-
細かい点々(錐彫り)のデザインです。点の大きさを変えることで、亀甲のシルエットが浮き立つようです。ひとつひとつ丁寧に注意深く、心を尽くして歩いてゆこう!
-亀甲文様(地型)-
《麻の葉文様》
こちらも基本形は六角形なのです。植物の麻の葉に似ていることから名づけられましたが、このデザインはとても古いものでありながら、六角形の中に直線を描き、よくこの美しいデザインが生み出されたものだとしみじみします。鬼滅の刃のヒロインも身に着けていて、健やかな成長や魔除けのおまじないでもあるようです。
《七宝》
丸を4分の1ずつ重ねてつないでいく文様です。〇がつながるだけに、円満・調和・ご縁などの意味合いもあり、やわらかくつながる優しい文様です。
-七宝①-
まるで花びらがつないでいるように、愛らしいデザインです。楽しい気持ちで、ずっと未来がつづいてゆけるなら、そんな嬉しいことはございませんね。
-七宝②-
七宝の丸がより楕円形になり、小花を埋め込んだ模様になりました。にわかには七宝とわからずとも、大丈夫、ずっとずっと繋がってゆきますので。
《紗綾型》
卍という漢字を崩して連続的につなげた文様です。着物の文様ばかりでなく建築物にも見られたりして、安定感のある不断長久な文様の一つです。
《毘沙門亀甲》
三個の亀甲(六角形)のそれぞれの二辺を描かずに、三つの六角形がくっついた文様です(真ん中の線を消すとおわかり頂けるかなと思います)。3分の1が合体しちゃっているという…何とも確かなつながりです。七福神のお一人「毘沙門天」さんの甲冑(甲と鎧)に描かれていたそうで、毘沙門亀甲と呼ばれるようになりました。
-毘沙門亀甲(地型)-
こうした文様は「永遠」に続くものであると同時に、四方八方につながっていくことで、ご縁をつなぐ、心をつなぐ、「つなぐ」を意味する文様でもあります。
この社会が、人がつくるものである限り、人と人とのつながり無くして豊かな未来を築いていくことはできぬものでございます。コロナ禍で止む無く希薄な状況が続いてしまっておりますが、人と人とをつなぐ温もりは、ネバーエンディングな物語に欠かせない、不変のものであるように思います。
季節を気にすることなくお召し頂ける文様たちです。カジュアルシーン~プチフォーマルなシーンまでお召し頂ける江戸小紋です。お好みのお色でお染めしておりますので、ご興味がございましたら、どうぞぜひお問合せ下さいませ。
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