2017年9月21日
京都で江戸小紋を染める「大野信幸」さんの作品『逆鮫』です。
まず「鮫」柄は、小紋柄の中でも最も古い文様の一つで、江戸時代には武士の礼装である裃の柄としても使われていた文様です。
では「逆鮫」とは?どうして鮫に「逆」がついているのかと申しますと・・・
通常の江戸小紋の染めでは、白生地に型紙を置いて防染糊を型付けし、そのあとで地色を染めて蒸して洗うと防染糊が落ちて白目が映える、という染め方ですが、こちらの染め方は、防染糊ではなくて、最初から色糊(こちらの作品では濃紺色)を型付けし、地色は白という染め方です。
なので、通常は白目になる点々が、色糊で染められています。つまり染料に入るところが逆、だから「逆」鮫と呼んでいます。京都で江戸小紋を染めて50年という大野信幸さんの作品。大野先生はこの技で「京の名工」に認定されています。
格のある袋帯をあわせると、各種の式典にもお召し頂けるお着物ですが、今回のコーディネートは、お食事会や気軽なプチパーティなどに、お楽しみ頂ける帯をあわせてみました。
友禅染め名古屋帯「ペルシャ唐花文」ペルシャ更紗のデザインを描いたという不思議に可愛らしい帯です。
ツンツンと伸びた木々、雨粒のような木の葉、しなやかな葉っぱにコロンコロンの木の実たち、木々の間をすり抜けていく森の精が隠れていそう、おとぎ絵本の世界のようです。
深い緑色の地色がちょっぴり珍しいです。大胆なデザインですが、良く見ると♡の木の周りの可愛いギザギザや、木の幹の繊細なライン、これはゴム糸目、職人さんの細やかなお仕事を感じます。
彩色は同系色の濃淡で、ところどころに刺繍を施して、森の奥行き感を感じさせてくれています。
カッコいい配色のコーディネートですが、どことなく可愛らしい。
爽やかな静寂感のある「逆鮫」のお着物に、生命力を感じる可愛らしい帯が良く似合います。
シルバーグレーの光沢のある帯締めと、平田紐のぼかし帯締めをあわせています。
全体に色数を増やさない濃淡の色合わせは、大人っぽくて心地よいコーディネートに仕上がります。
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